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出向く医療

「出向く医療(巡回診療と訪問診療)」は当院の一番の特色です。「集める医療」とのバランスがとれて初めて地域医療が達成されます。

病状が悪化してから医療サービスを開始しても後手に回ることが多く、とくに高齢者においては寝たきり状態に陥り、合併症などのため長期入院となり、介護者も疲れ果て、施設への入所待機者はあふれ、挙句の果てに家族ともども町外へと流出してしまうことが少なくありませんでした。
高齢者の生活機能は慢性疾患の急性増悪を繰り返しながら次第に低下していきますが、適切な医療介護の介入により在宅において元気に長生きできると考えられます。
そのため、病状が悪化する前に医療サービスを開始することで、寝たきりを予防し、介護負担の軽減や過疎化の防止につながるのではないかという仮説を立てました。

新潟県では、津川保健所が中心となり、冬期降雪のため交通困難な無医地区の医療確保を図っています。地域住民の協力と理解を得、へき地の看護・救急の協力など基礎的条件があり、基幹病院と地区の健康管理室間の情報交換が期待される上川村室谷地区が対象とされ、昭和49年12月1日より開始しました。対象地区は、昭和50年に3箇所、53年に5箇所、55年には8箇所に拡大しました。

さらに国のへき地保健医療計画により、平成4年4月1日に「へき地中核病院」の指定(平成15年2月1日からへき地医療拠点病院に指定変更)を受け、旧上川村および旧鹿瀬町の豊実地区で巡回診療を実施しています。

平成19年8月には津川病院と阿賀町の出向く医療の利用者数は、月400人以上であり、これは津川病院の病床数の約7倍という驚異的な数字です。すなわち阿賀町のような地域医療において、「出向く医療」の需要が多いということをあらわしています。

なお「巡回診療」すなわち「へき地診療」と、「訪問診療」は同じ「出向く医療」ですが、表1のように若干中身が異なります。前者はへき地の部落ごとのプチ集約化医療ともいえます。
両者の良いところを伸ばしていけるかどうか今後の「出向く医療」の課題です。

表1)巡回診療と訪問診療 ~似て非なるもの

表1)巡回診療と訪問診療  似て非なるもの
  巡回診療
訪問診察
スタッフ
医師・看護師・医事・運転手・そして保健師(町職員) 医師・看護師・運転手
診療時間 短い(3分) ゆっくり(5~10分)
寝たきり患者様の場合 受診不可 全く問題ない
若い患者様の場合 支障あり 問題ない
検査 静脈採血 動脈採血・エコーも可
薬の配達 診察時配達 適宜可能
会計 集会所で会計
(但し前回分)
不可
生活指導・予防接種 最適 最適
保健師との連携 良好 可能
ケアマネ・介護士との連携 いまひとつ 良好
家族とのつながり いまひとつ 濃密
効率性とコスト まあまあ いまひとつ
超高齢社会では 最適 最適

 

 
 

 

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