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更新日 2012-05-16 | 作成日 2008-08-25

多賀小の「言の葉教育」の概要(教育関係者の方々へ)

言語活動の充実をめざした豊かで特色ある多賀小の「言の葉教育」

 多賀町立多賀小学校では、平成20年度に国立教育政策研究所からの委嘱を受けて、「小中連携教育実践研究事業」に取り組んできました。これを契機として、学力向上に向けた言語活動の充実をめざした豊かで特色ある「言の葉教育」の研究・教育実践を4年にわたり行ってきました。この間に、多賀小学校の「言の葉教育」の実践は独自の進化を遂げ、滋賀県内でも言語活動の充実という観点から、先進的な取り組みを行う学校として、新聞各紙・テレビ局などのマスコミからの取材も多く受け、注目されるようになりました。

「言の葉教育」を支える3つの柱は
① 「言の葉タイム」
② 家庭・地域と連携した「言の葉トレーニング」
③ 「言語活動」に焦点を当てた校内研究
です。


はじめに、「言の葉タイム」の概要を説明します。
 「言の葉タイム」は毎朝、午前8時25分から午前8時40分までの15分間、学力向上に向けた言語活動学習の時間として取り組んできました。「言の葉タイム」の内容は、曜日ごとに学習内容を決めて、全校共通で行っています。モジュール学習としての設定なので、この取り組みは国語科の年間指導計画に基づき、評価を通信表に反映させるようにしています。(「漢字学習」及び「教科書読み」)

【月曜日】 漢字学習
 教科書の新出漢字の学習を進め、既習の漢字の習熟学習を行っています。また、町内教員グループが問題を作成した多賀町独自の「多賀町漢字検定」を年2回行い、合格者には合格証を授与し、基礎的基本的な漢字の定着を図るとともに、合格点に達しなかった児童には補習を行い、努力賞を授与しています。

【火曜日】 名文暗唱
名文・名句の暗唱に取り組んでいます。名文・名句の暗唱活動は、味わい深い文章を覚え朗唱することで、聴覚を通して言語を内言語化させると共に1日の学習のウォームアップ効果があります。長文の暗唱は、文の大意と構成を理解した上で記憶することが求められ、それは自分自身の次の表現力の深化につながっているととらえています。その月の暗唱課題をマスターし、休み時間に学校長に合格を認められると「合格シール」がもらえます。これを励みにしている児童が全校にたくさんいます。
合格者数は学級ごとに集計され、全校集会で学校長から表彰状が授与されます。学級全員で共通の目標を設定して取り組むことで学級経営にも生かされています。
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【水曜日】 言の葉集会(月1回)・学力補充
 本年度から児童が進行する形で「言の葉集会」を実施しています。内容は各学年の暗唱発表と、委員会や学年などの児童グループによるお知らせや季節の話題の発表などを行っています。

【木曜日】 読み聞かせ・読書・教科書読み
 町の学校支援ボランティアの方々の協力を得て、本の読み聞かせ活動を行っています。ボランティアは子どもたちの保護者や保護者OB、近所で仲良くしてくださる祖父母の方々など児童にとって身近で安心できる方々が登録してくださっています。児童は、いつも楽しく本を読んでくださるボランティアさんの来校を楽しみにしています。また、読み聞かせがないときには、心を落ち着かせて、各自で国語の教科書を静かに熟読する活動を行っています。本校は、公費で購入した図書以外に、PTAが資源回収を熱心に行い、その収益から多数の図書を購入し寄贈していただいています。これらの蔵書は児童の読書活動の推進に大きく貢献しています。

【金曜日】 筆ペン書写
 書写に手軽に親しむために、「筆ペン書写」活動を独自に開発し取り組んできました。筆ペン書写の取り組みは、
1 地元の書家に書いていただいたお手本を、薄い文字で印刷し、それを丁寧になぞる。
2 手本を折り、短い短冊状にして半紙の横に置き、よく見て書き写す。
3 書き上がった自分の作品は、台紙に貼り付けて残す。
という手順を試行錯誤して開発し、3年生以上で取り組んでいます。
筆ペンを活用して、百人一首を中心に字母を意識してしっかりとした筆致で墨書することで、字形の均衡と均整の感覚を磨き、書のもつ豊かな美への感性を育てています。文字を書き上げ技を磨き上げる体験を積み重ね、15分間集中して文字に向き合う活動は、心の安定をもたらし落ち着いた学習環境づくりに大きく資しています。(この取り組みが読売新聞全国版 平成23年12月22日No.1548 「教育ルネサンス」に掲載されました。)
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続いて、「言の葉トレーニング」の概要について説明します。
地域、家庭が学校と共に「言の葉教育」を推進し、児童を取り巻く言語環境を整えることを目的として、「言の葉トレーニング」を配布しました。児童と家庭に、相手を思いやる美しい言の葉を使おうと呼びかけ、家庭においても「言の葉教育」のねらいが共通理解されるようにしています。今後は、地域だけでなく生徒指導や道徳教育などをはじめとして、全ての教育活動の中に目に見える形で「言の葉トレーニング」の取組を積み上げていきたいと考えています。


さらに、「言語活動」に焦点を当てた校内研究について説明します。
本校では、今年度「言語活動の連動性を追求した、言語の力(豊かな言の葉の力)を高める授業づくり」をテーマに、「言の葉教育」の成果を基本に据えた校内研究にあたっています。これまで培ってきた言の葉教育の成果を活かしながら、さらに授業の改善を図っていくことで、言語の力(豊かな言の葉の力)を高めることができるのではないかと考えています。
つまり、日々の授業の学習活動の中で展開している、記録・説明・報告・紹介・感想・討論などの言語活動が、
① 本校の実態に即して効果的に指導者から投げかけられていたのか
② 授業の展開は子どもたちの能力を高めるために適切であったのか
③ 子どものためになるより良い支援のあり方はどのようなものであるのか
の3つの視点に基づいて授業の中に効果的に配置されているか、そのつながり(連動性)を検証していくことで、子どもたちの言語力を高めるという目標を達成できるのではないかと考えています。


本校の「言の葉教育」を支える3つの柱以外の取り組みから、ユニークなものをいくつか紹介します。

1 「言の葉」のゆるキャラ
 その一つ目は、言の葉教育の応援団としての「ゆるキャラ(着ぐるみ)作り」とその活用です。言の葉教育を児童が主体的に楽しみながら活動できるための一助として、高学年児童を中心に「チーム多賀っ子」を立ち上げました。キャラクターの原画を全校に募集し、メインキャラクターの「多賀っ子ちゃん」をはじめ、ユニークなキャラを設定しました。主に昼休みを中心に週2~3回制作にあたり、手作りの着ぐるみを5体仕上げました。町学校支援ボランティアの方に指導助言をいただきながら、張り子の手法でかわいく親しみがある頭部を完成させ、衣装を整えました。(この取り組みがNHKテレビ「週刊ガッコウ通信」で放送されました。)
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2 言の葉物語作り
 次に、オリジナルの「言の葉物語作り」の取り組みを紹介します。卒業制作として「言の葉教育」の学びの証を形に残せないものかと、児童が話し合ってオリジナルのストーリーを構成し、言の葉教育の意図や願いが伝わるような物語を創作しました。ストーリーの構成にあたっては、地元の作家にボランティアで「物語を書くということの楽しさ」について指導していただきました。また、マインドマップの手法を学習し、ストーリーの展開をまとめるスキルとして活用する体験もしました。さらに挿絵を工夫して、印刷・製本までを児童が手作りで仕上げました。表紙のイラストは、児童が1枚1枚オリジナルで描き上げ、題字は一人一人が筆ペンで書きました。完成した冊子は各学級の文庫として収め、在校生児童が楽しく読み、言の葉教育の足跡を受け継いでいます。23年度の6年生は「多賀小万葉集づくり」に取り組んでいます。
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最後に、これらの言語活動の充実をめざした豊かで特色ある「言の葉教育」が本校にどのような成果をもたらしたのかを端的に説明します。
「言の葉教育」の取り組みを進めるうちに、学習だけではなく相手を思いやる心や道徳性が育成され、人間形成の手立てとしても大きな変容がありました。児童会代表委員会の呼びかけで「オアシス運動(あいさつ運動)」が展開され、全校児童が気持ちのよいあいさつをすることができています。本校の児童は、校門前で朝のあいさつをするときにきちんと立ち止まり、教師の顔を見てあいさつができる子が増えています。情緒面も安定し、生徒指導にかかる児童間のトラブルは数年前と比較して減少しています。保護者の学校評価のポイントが前年比でアップ傾向にあり、学校に寄せる期待と信頼が高まっています。これらの要素も児童の学力向上に大きく寄与していると考えられます。