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化石海水説
 「どこを掘っても、すぐ湯が出た。7mくらいで45度以上の高温域にぶつかってしまった」。
 摺ヶ浜の後背地の山の手には、90度を超す泉源がいくつもあり、地下に高い熱源があることがわかっている。ここから熱い湯が海岸部に流下し、自然湧出しているというのが定説だ。
 「もちろん内陸部からの地下水だけではなく、鹿児島湾の海水も浸透し、地下で塩水クサビという地下水と海水の境界を作っている。内陸からの熱水はこのクサビを通過せず、クサビに沿って砂むし場付近に湧き上がってくる」と塩水クサビ説を取る。
 地下水位が上がれば上がるほど、塩水クサビは垂直になり、熱水が勢いよく上昇する。このクサビ説が満潮時に砂浜がより熱くなる事実を裏付けている。
 「指宿の塩湯は海水の水」と、多くの人が思っている。だが、海水説では説明できない状況や研究結果が次々と示され、今や「化石海水説」が有力。
 摺ヶ浜の温泉泉水を分析、PH、塩化物イオン、硫酸イオンの数値から化石海水の存続を突き止めた。
 温泉水はPH7(普通の海水8.2)、塩化物イオン7000mg(同18000)、硫酸イオン4000〜7000mg(同2500)。
人間の下では海水と区別しにくいが、成分はかなり異なる。
 特に硫酸イオン濃度は海水の2〜3倍と高く、単に海の水が温められて出てきたものではないことが立証された。
 地下の深い所にたまった古代の水が指宿温泉の源泉なのだ。
 「この古い水が化石海水。古いといっても、どの年代かわからない。水素同位体トリチウムで測定する方法があるが、そこまでは手が届かない」。砂むしのメカニズムの解明は徐々に進んでいる。


(1992年7月30日〜8月7日まで南日本新聞に掲載された「温泉新時代」より引用したものです。)
海水と成分異なる
塩水クサビがカギ
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メカニズム

温泉水分析「化石海水」
 大潮の7月16日午後2時過ぎ。よく潮の引いた摺ヶ浜に、お湯の流出路がいく筋も現れた。汀線(ていせん)のあちらこちらから湯気が立つ。ムッとむせかえる熱気の中で、湯温調査を始めた。
 やけどを防ぐたのめ長靴をはき、デジタル式のサーミスタ温度計を手に、南北一キロの海岸線を歩き回った。
 「おーっ、やっぱり高い。」多くの砂浴客が横たわるすぐそばで、数値を読み上げる。
 デジタル温度計は80度を越す高温を表示している。10cmほど掘った砂むし上の砂温も60度と高い地下を流れる熱水に温められて乾燥した浜砂が砂むしに適している証拠だ。
 湯温、湯量に変化のない事を確認し「潟口(指宿市)や山川港のように消えた砂むし場もあるが、摺ヶ浜は大丈夫」と太鼓判を押す。


温泉成分適応症
成分
1. 源 泉 名 /天然砂むし温泉
2. 泉    質 /ナトリウム塩化物泉
3. 泉    温 /泉源 摂氏84.7度
4. 試験成績
性    状 /湧出地 無色透明、強食塩味、無臭
  試験室 無職透明、強食塩味、無臭
水素イオン濃度 /(pH)湧出地 6.80
     試験室  7.45
ラドン含有量 /0.29×10-10 ci/kg(1.07Bq/kg)
比    重 /1.010(20℃)
蒸発残留物 /14.19g/kg(110℃)
温泉成分 /本水1kg中に含有する分量
陽イオン
成    分 ミリグラム(mg) ミリバル ミリバル%
Li+リチウムイオン 2.9 0.42 0.18
Na+ナトリウムイオン 4150.0 180.50 78.44
Ca+カリウムイオン 272.2 6.96 3.02
Mg+マグネシウムイオン 174.2 14.33 6.23
Ca+カルシウムイオン 554.7 27.68 12.03
NH4+アンモニウムイオン 1.8 0.10 0.04
Mn2+マンガンイオン 1.1 0.04 0.02
Sr2+ストロンチウムイオン 3.9 0.09 0.04
5161.0 230.10 100.00
陰イオン
成    分 ミリグラム(mg) ミリバル ミリバル%
F-フッ素イオン 0.8 0.04 0.02
Cl-塩素イオン 7538.0 212.60 94.70
SO-硫酸イオン 471.3 9.81 4.37
HCO-炭酸水素イオン 125.1 2.05 0.91
8135.0 224.50 100.00
適応症
1. 一般適応症
神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩・関節のこわばり・うちみ・くじき・
慢性消化器病・痔症・冷え性・病気回復期・疲労回復・健康増進
2. 泉質別適応症
きりきず・やけど・慢性皮膚病・虚弱児童・慢性婦人病

温泉分析年月日/ 平成13年6月1日
分  析  者 / 社団法人鹿児島県薬剤師会


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