P2-5. 不妊症講座(5) 西ウイミンズクリニックでの不妊治療による妊娠実績は2002年末までに1400名を越えています。
  ★不妊症講座

 【6】 治療はどのようにするの・・・? 

(3)原因にそっての治療 【2】不妊症の原因 P2-1へ 【5】原因の解説 P2-3へ
@男性側の異常による不妊  
  乏精子症、精子無力症、精子奇形症には通常配偶者間人工授精(AIH)を行います。
  少しでも卵子の近くまで精子を運ぶため、精子を子宮腔に注入する方法です。丁度排卵の時期に精液から良好な精子を集めて子宮腔にカテーテルで注入します。痛みもあまりありません。(*AIH 詳細別記)
  精子の感染症には抗生剤(培養感受性の検査結果により薬剤の選出)を2週間投与後、再び検査を行います。
  精液検査で、無精子症など高度の異常が認められた時には、精巣生検により精子が精巣内で作られているかどうか調べることが必要です。(*精巣生検 別記)
A子宮頚管(子宮の入口の管)粘液異常  
  頚管粘液の分泌が悪いか、あるいはフーナーテストが不良である場合は、人工授精が効果的です。(→AIH)
  しかし、男性不妊を伴っている場合は、より高度な治療が必要となる場合があります。
  女性にクラミジアのような病原菌の感染があれば頚管粘液の性状に影響を与えますので、まず抗生剤(クラリス)にて治療します。
  頚管粘液の量が少ない場合、卵胞ホルモン(プレマリン)を投与する場合もあります。
  フーナーテストが不良な場合、女性側に全身的な抗体(抗精子抗体)が発見されることがあります。(→抗精子抗体)
B卵管の異常に対する治療  
  病度が軽度であると思われる場合には、月経後排卵期以前に通気通水を行い、卵管の疎通性を図ってから排卵期の対応をします。3〜4周期行ってみて変化がないようであれば、他法を考えます。
  卵管采周囲癒着剥離術や卵管采形成術などの方法は以前にはよく行われていましたが、効果があったというよいデータはあまりなく、体外受精という方法がある今、その方法を用いない手はないと思います。
C別記   排卵障害に対する治療法 詳細へP2-5M1へ
D卵子の捕捉障害に対する治療 詳細へP2-5M2へ
  体外受精が有効です。
  一般不妊検査でははっきり診断することはできませんが、様々な検査で明かな不妊原因がみつからなかったり、みつかった原因を是正する治療を行ってもなかなか妊娠に至らなかった場合に、この卵子の捕捉障害を考えてみるべきだと思います。
卵管采が卵巣におおいかぶさって、卵子をピックアップしているところ
E受精障害に対する治療  
  抗精子抗体検査などで受精障害が明らかになった場合は、顕微授精の適用となります。
  受精障害もまた卵子の捕捉障害と同様に、一般検査で診断できず、何ら不妊の原因が見当たらなかったり、原因を是正しても妊娠しなかったりという時に、一考して見るべきです。
  不妊の原因を究明する為に、一度体外受精を行ってみるというのも一つの方法です。
F着床障害に対する治療  
  7-1.子宮因子によるもの
  ・筋腫がある場合、大きさ、発生部位など考慮し、不妊原因と考えられる場合は手術療法となります。特に子宮内腔の変形を伴う場合は、まず手術をすすめます。粘膜下筋腫、大きな漿膜下筋腫や筋層内筋腫等は手術の対象となります。
  妊孕性を残す不妊治療の一環であり、筋腫核を剥出し、癒着防止の為の処置をします。(IUD+セプラフィルムの使用など)
 
          手術前           手術後
  ・子宮腺筋症
  主に薬物治療となります。スプレキュアやナサニール、リュープリンのようなGnRHアゴニストを使用し、基本的に6ヶ月使用した後病気が治っている間(理想的には半年間)に妊娠できるように積極的援護をします。
  これらの薬剤の使用法は以下の通りです。
 
スプレキュア 1日3回の点鼻                    月経1〜2日目より6ヶ月
ナサニール 1日2回の点鼻  すっぱい臭いがある(酢酸臭)月経1〜2日目より6ヶ月
リュープリン  28日に1回皮下注射  6ヶ月間
  また時には、ポンゾールという内服薬を使用することがあります。
  以上の薬剤については、更年期障害様の副作用(のぼせ、肩こり、頭痛、動悸、焦燥感など)が現れることがありますが、多くは1〜2ヶ月で症状は軽減されます。
  ・子宮内膜ポリープや有茎性粘膜下筋腫がみられる場合は、小さいものであれば外子宮口側から簡単に切除できます。
  7-2.黄体機能不全に対する治療
  ・内服薬(黄体ホルモン、ヒスロン)の投与
  基礎体温が上昇した後に投与し、内膜の変化を促し改善します。
  ・hCG(絨毛性ゴナドトロピン)の注射 モチダhCG、プロファシー等
  排卵期に投与→黄体の形成 排卵を確実にさせます。
  黄体期に投与→黄体機能の維持
  ・クロミフェン(セロフェン)の投与
  黄体機能不全が卵胞の発育遅延に引き続きおこる場合、クロミフェンを用いて是正します。
  月経4日目から5日間連続服用します。
G子宮内膜症に対する具体的な治療  
  軽度のものについては機能性不妊に準じた治療をすすめていますが、なかなか妊娠に至らない場合には、薬物治療を行い(子宮腺筋症に準じた治療)、その後再び機能性不妊症に準じた治療を続けます。  
  直径5cm以上の子宮内膜症によると思われる卵巣嚢腫(チョコレート嚢腫)がある場合には、開腹手術も考えますが、当院では主に経腟的にアルコール固定法(*別記)を行っています。  
  内膜症では腹腔鏡検査を行い、卵巣周囲や卵管采の病変の診断や手術をすることが一般的なのですが、腹腔鏡下手術後の再癒着を考慮し、当院では特別な場合以外は行っておりません。  
 
写真は初期子宮内膜症の腹腔鏡写真
  ブルーベリースポット ホワイトエンドメトリオージス 卵巣表面の内膜症
 
  別紙に重症の子宮内膜症であっても、保存的療法により妊娠に至った一症例を紹介いたします。 P2-5ex

  かなり重症であったり、高年齢であったり、保存的療法を行ってもなかなか妊娠に至らないものについては、ART(生殖補助医療技術)による治療をすすめています。