P2-3. 不妊症講座(3) 西ウイミンズクリニックでの不妊治療による妊娠実績は2002年末までに1400名を越えています。
  ★不妊症講座  
 【5】 不妊症の原因の解説   【2】     P2-1へ
(1) 男性側の異常による不妊  
  十分な数の形態の正常な動きのよい精子が射精されない場合
 
@精子濃度   精液検査の正常値(20〜40)×106/ml以上
A運動率    40%以上
B良精子運動率25%以上
  濃度、運動率などを合わせて精子数の少ない        乏精子症
                    運動率の少ない       精子無力症
                    奇形精子の多い       精子奇形症
                    精液はあるが精子のない  無精子症
                    膿精液症           精液感染症
  等に分類します。 (不妊患者の約40%)
     
(2)子宮頚管(子宮の入口部分)粘液異常  
  頚管粘液の性状が悪く、精子が子宮内へ進入できない状態をいいます。フーナー(性交後テスト)及び頚管粘液検査等にて診断します。(不妊患者の約15%)   
     
(3)卵管の異常による不妊  
  卵管の閉鎖や狭窄あるいは周囲の癒着などに基づくものをいいます。(不妊患者の約35%)
  以前は淋病、今はクラミジア感染が重要です。クラミジア感染は治療しても、卵管通過障害や卵管周囲癒着を起こし、不妊の原因となります。  
     
(4) 排卵障害による不妊  
  卵胞の発育がおこらないかあるいは卵胞破裂がおこらない(LUFS)場合をいいます。(不妊患者の15〜20%)
 
@視床下部型    第一度無月経を呈する(ゲスターゲンテストによる消退性出血をみる)LH−RHテストは良好な反応を示し、クロミフェン反応である
A下垂体型    第二度無月経を呈する。(ゲスターゲンテストによる消退性出血を見ない)LH-RHテストは反応を示さない。hMG/FSH使用で排卵がみられる(クロミフェン無反応性)
BPCO型    LH-RHテストは視床下部型に似ているが、LHの基礎値は高く、反応は良好。FSHの基礎値は正常で良好。第一選択は、クロミフェン投与。
C卵巣型 FSH、LHの基礎値はともに上昇。
     
(5)卵子の捕捉障害による不妊  
  難治療性不妊の約半数に卵子捕捉障害があるといわれています。
  卵管采の形が変形していたり、またねじれていて、卵子を取りこめない状態をいいます。
     
(6)受精障害による不妊  
  精液所見が正常でも、受精の機序において何らかの問題があり、受精が成立しないものをいいます。
  体外受精、胚移植などの生殖補助医療技術の発達によって受精障害の存在がわかってきました。
     
(7)着床障害による不妊  
  @子宮因子によるもの
  子宮に病変があると子宮内膜が損われ、着床ができなくなります。(不妊患者の約15%)
 
子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮内膜ポリープ
子宮奇形(特に双角子宮、中隔子宮)
子宮腔癒着 
  A黄体機能不全
  黄体の働きが悪く十分にホルモン(プロゲステロン、エストロゲン)が分泌されない場合や、子宮内膜がホルモン(プロゲステロン)に反応せず、内膜が着床に望ましい変化をとげない場合を言います。(不妊患者の約10%)
  BInplantation window のづれ  
     
(8)子宮内膜症に伴う不妊  
  子宮内膜症は月経血の逆流によっておこるといわれています。子宮内膜は卵巣から分泌されるホルモンにより肥厚したり、妊娠しないとはがれて月経となり、体外へ排出されるわけですが、この子宮内膜が骨盤内の腹腔や卵巣卵管などの中に、時には離れた組織の中に、入りこんでいる場合をいいます。(不妊患者の25〜35%)
  @機能的には腹腔内に排出された生化学物質が受精障害を招いています。
  A進行してチョコレート嚢胞の形成、卵管へ進出し、周囲との癒着などの器質的不妊原因となります。
 
               子宮内膜症の内診所見による臨床的進行期分類
第T期 骨盤内臓器・漿膜面に散在する1〜2mmの病変。開腹時にのみ発見される。
第U期 仙骨子宮靭帯・広間膜・子宮頸部後壁あるいは卵巣に限局性の硬結を触れ、癒着のないもの
第V期  卵巣が少なくとも正常の2倍以上に腫大し、仙骨子宮靭帯・子宮後壁・直腸・付属器に癒着が存在し、子宮の移動性が制限されているもの。
第W期 Douglas窩が閉鎖し、骨盤内臓器が癒着のため一塊となり、個々の臓器を区別できないもの。frozen pelvis の例。
                                         (BEECHAM、1966)
     
(9)免疫性不妊  
  結婚後に精子にさらされた結果、女性の体の中に精子に対して運動性や受精能力を損なう抗体が出現する場合があります。この抗精子抗体は頚管粘液、子宮腔卵管内、卵胞液内にも出現します。当然フーナーテストの結果は不良である場合が多くなります。(不妊患者の約10〜15%) 
     
(10)原因不明の不妊(機能性不妊)  
  一般不妊検査にて異常を認めないもので、実はこの症例が一番難しいのです。(不妊患者の約10%)
  主な原因として推測されるものとして受精障害、着床障害、捕捉障害などがあります。