1. タウリンのコレステロール低下作用

高コレステロール食により高コレステロール血症を誘導したラット、マウスなどにタウリンを与えると、血漿コレステロール濃度や肝臓コレステロール濃度が低下することが知られています。この作用機序を解明するために研究を行っています。

(これまでの研究から推定される作用機序)
●糞中への胆汁酸排泄増加
  糞中への胆汁酸排泄増加に以下の機序が示唆されてきました。

A. 胆汁酸再吸収抑制説
  本研究室では、タウリン投与により胆汁酸再吸収が抑制されることを示唆しました。現在、この要因によるコ レステロール低下が主要因ではないかと推定し、精力的に研究しています

B. コレステロール異化促進説
  これについても可能性を示唆してきましたが、タウリンによるコレステロール低下の寄与度はA.より小さいのではないかと思っております。*この点はまだ研究しないとわかりません

尚、本研究室では、タウリン投与時に消化管への胆汁酸分泌量が変動しないことを明らかにしており、糞中胆汁酸排泄の増加にA.の説が強く関わっていると考えています。  

2. 栄養成分、食品成分による大腸内環境の改変と適正化

日本人の大腸ガン発症や潰瘍性大腸炎発症の数は年々増加しています。このため大腸内の環境を適正に保ち、疾病予防をはかることは重要であります。大腸には1000種程度の腸内細菌が存在するといわれており、ヒトではその重量は1kg強と考えれています。このように私たちの消化管内には多数の生命体を抱えているわけで、共生関係にあるともいえます。腸内細菌は大腸に流れ込む成分を利用し、さまざまな生成物を産生します。これらの生成物に生理作用があることが知られています。このため、大腸に流れ込む成分の制御、腸内細菌の制御、発酵産物生成の制御は大腸環境の適正化に重要と考え、研究を行っています。

(現在の研究)
●大腸への窒素供給による腸内細菌叢・発酵パターンの変動解析
●長いもによる大腸内環境変動に関する研究
●DFAIIIおよびFOSによる腸内細菌叢・発酵パターンの変動検証

3. 食物センイのコレステロール低下作用

ある種の食物センイをラットに与えると、血漿コレステロール濃度が低下することが知られています。私たちはビートの食物センイでこの作用を有することを確認しました。その作用に大腸(特に、盲腸(ラットでは盲腸が主要な発酵部位))の存在が必須であることを、大腸切除ラットで明らかにしました。その後、抗生物質投与で腸内細菌叢を変動させたラットを用い、ビート食物センイの作用が異なることを見出しました。このことから大腸における発酵がビート食物繊維の作用発現に関わっていることを示唆してきました。物質の特定には至っていませんが、大腸発酵と食物センイのコレステロール低下作用に関係があると考えられてきました。
*ただし、食物センイによってはこのメカニズムと異なる機序でコレステロール低下を引き起こすと考えられます。以前に私 たちが行った研究で、水溶性食物センイのグアーガムが大腸切除ラットでもコレステロールを下げることを確認しており、異なった機構があるものと考えられます。

(現在の研究)
●長いものコレステロール低下作用