文字万象

 中国少数民族の古文字は三十種類を数え、各々独自の歴史を持っている。最も早いものは紀元二〜三世紀に創製されている。突厥(とっけつ)文字は紀元七世紀、回鶻(かいこつ)文字は八世紀、喫丹(きったん)文字は十世紀、西夏(せいか)文字は十一世紀、女真(じょしん)文字十二世紀、蒙古文字、八思巴(ぱすぱ)文字は十三世紀、満州文字は十六〜十七世紀にそれぞれ創製されたものである。これらの文字は、大陸の北から南までの空間も時間も途切れる事なく発展し、中国周辺文化を培ってきた。

 漢字という中心文化と少数民族の古文字の周辺文化はお互いに補完的役割を果たしている。周辺文化がなければ、中心も存在しないと同様に、周辺文化はとって代わることが出来ない価値をもっている。
書道芸術は漢字が独占するものでない。民族によって文字が違えば、書道芸術も多様である。それぞれの書はその習慣と特徴を残し、民族の美意識を投影させている。
漢字の初期の字形の甲骨文字や金石文字、そして周辺の少数民族の古文字をモチーフに約十六年間にわたり日中文字文化交流を企画してきた。

 恋慕 (西夏文字)  萬寿無疆(パスパ文字)