日中人名の漢字

 人の姓に用いられる漢字を考えてみたい。「苗字」と「名字」の意味は厳密には異なる。「名字」は年貢の納入責任者という意味を持つのに対し、「苗字」とは血縁が同じ一族(苗)を示す。「ビョウ」がなまって「ミョウ」となった。言葉の成り立ちのを考えれば、現代に日本の姓は「苗字」とする方が筋が通るように考えられる。

日本は30万、中国は4100

 日本の苗字は読み方が異なるものも含めて約30万あるとされている。苗字に使われる漢字の数は約3500とされるが、このうち約3000の漢字でほぼ90%の苗字が書き表される。

 江戸末期の日本の人口は約3000万人。うち苗字を持つものは約120万人。苗字の種類は推計1万とされた。1871(明治4)年に戸籍法が発布されると、新たな苗字が次々作られた。

 中国は、現在13億とも言われる人口を有するが、日本の苗字のほとんどを書き表す漢字を生んだ国である。中国では、世界に先駆けて姓を使い始めていた。現在その姓の数は4100程度と言われる。

 ネット新聞の「人民網」日本語版のデータでは、中国最多の姓は「王」で、総人口の7.25%を占め、約9288万人だという。2位は「李」、3位は「張」である。これら三つの姓が全人口の21%強を占め、三大姓と言われる。

 同姓ならば先祖は家族だったと言っていって、中国人の同姓同士が初対面のあいさつを交している風景をよく見かける。ただし近年は三大姓であっても、100以上のルーツがあるだろうとも言われている。

奥深い「苗字」と「姓」の世界

 姓の調査研究は、「文化的遺産」と「生物学的遺産」の二つの面をつなぐ懸け橋であると中国の専門家は指摘している。中国の姓の分布と疾病の分布が重なる部分があるというから面白い。

 人名に用いられる文字の世界はかくも奥深い。今回の「日中人名の漢字展」では、こうした文字をどう読み解くか、一つの文化的視点を提示したいと考えている。

安倍仲麻呂

安倍仲麻呂
玄奨三蔵