「入部のしおり」は、美術部の新入部員を対象に、部員としての心構えや知っておくべきこと、制作にあたっての留意点など、部活動をする上で基本となることをまとめたものです。分かりにくいところもあるかもしれませんがが、そのときは先生や先輩に、遠慮なく聞いてください。
せっかく入部したのですから、積極的に活動し、少しでもよい作品を製作されることを期待します。そのためにもこの「しおり」をよく読んで、ぜひ役立ててほしいと思っています。
CONTENTS
第1章 部活動
1:入部にあたって
2:美術部の活動
3:部の組織
4:その他
第2章 油絵
1:用具(画材)について
2:制作にあったて
3:その他
第3章 デザイン
1:用具(画材)について
2:制作にあったて
3:その他
第1章 部活動
1 入部にあたって
美術部は顧問の先生の指導のもとに、油絵やデザイン等の作品を制作し、それを美術展などで発表したいという人のための部です。ですから忙しくて絵を描く時間のとれない人、展覧会に出品したくない人、先生の指導を受けたくない人は入部できません。
美術部は絵を描くのが好きな人たちの集まりです。お互い人間関係をよく保ち、気持ちよく制作ができるようこころがけましょう。
*入部希望者は「入部届」に入部金(今年度部費に充当)を添えて顧問の先生に提出すること。
2:美術部の活動
次のように年4回の美術展があり、年間を通して制作活動をするよう奨励しています。詳しいことはそのつど連絡しますが、これらに出品することは部員としての最低の義務ですので、普段から計画的に制作するようにしましょう。
名 称 開催月(予定会場) サイズ 学校祭美術展 6月下旬(普通教室) 絵画10号以上、デザインB2〜B1 地区展 9月中旬(ユニオン) 絵画10号以上、デザインB2〜B1 高美展 11月(アトリオン) 絵画30号〜50号、デザインB1 地区冬季展 2月(かまくら館) 絵画10号以上、デザインB2〜B1
- このほか写真部などとの合同展が開催される場合があります。
- 展覧会の都度「美術部通信」等で事前に連絡します。理由無く出品しない場合は退部になります。
- 絵画の場合、(1)アイデアスケッチの段階(約1ヶ月前)、(2)下描きの段階(3週間前)、(3)ほぼ完成(1週間前の合評会)の少なくとも3回チェックポイントを設け、講評しています。(デザインもほぼ同様)
- 作品の運搬(搬入、搬出)は先生の指示で行います。
- この表の「サイズ」は、なるべくその大きさで製作して欲しいということです。ただし、高美展の絵画は30号〜50号(40号、50号は 縦画面のみ)。デザインはB1のみと決まっています。絵画、デザインの両方に応募できます。(2002年度現在)
- キャンバスやパネルのサイズ表はこの「しおり」の最後に載っています。美術室にも掲示しています。
3 部の組織
- 部長:1〜3年のまとめ役。10月頃2年生から選ぶ(前部長と顧問が相談して決める場合が多い)。
- 副部長:部長の補佐兼連絡係。10月頃1年生から選ぶ。
- 他に会計係、管理係、連絡係(1年生)などを必要に応じて決めています。
4 その他
- 美術室の戸棚に高美展などの作品を撮ったアルバムや作品集があります。全県レベル、全国レベルの作品を見ておきましょう。
- 美術室の引き出しに「美術部ノート」があります。自由に書いてかまいませんが、部活動の記録、感想、反省なども書くようにしてください(日付、記名を忘れずに)。
- ミーティング(全員集合)などの連絡を受けたときは必ず集合すること。何か事情で来られない時はそれが終わってから来ること。
- 制作は予定通り行かない場合が多いので、相当前から計画を立て、ゆとりを持って取り組みましょう。
- 部活動は放課後6時までです。学校に居残りしてはいけません。
- 「こんにちは」「さようなら」などの挨拶は人間関係の基本です。先生にも忘れず挨拶してください。
第2章 油絵
(この章は油絵を描く人のために書いたものです)
1 用具(画材)について … その1 …
◆個人で用意(購入)するもの
油絵の具セット
(7000円〜)(内容)絵の具箱、12色絵の具、油壺、ペンチングオイル、パレット、筆、クリーナー(筆洗)などがセットになっている。 キャンバス
(30号で約5千円)木枠に布を張ったもの。木とベニヤ板で自作も可。古いキャンバスの布を張り替えて使ってもよい。製作、購入は先生に相談。 スケッチブック カバンに入れて持ち運べる程度のもの。授業用とは別に用意。 エプロン 制作時、絵の具を服に付けないように。 布切れ 画面に付き過ぎた絵の具などの拭き取り用。下着などの柔らかい古布を切ってくること。必ず用意。
◇個人のものには、他の者が見て分かるように記名すること。決められた場所に収納すること。
◆美術室・部室にあるもの
画用木炭 デッサン用。キャンバスに形をとるときに使うこともあるが、その場合フキサチーフで定着するか布でふき取るとよい(跡が残るのでそれを元に絵具を塗る)。 フキサチーフ 木炭の定着剤(スプレー)。主に「木炭デッサン」に使用するが、完全には定着しない。缶の説明を読んで使用すること。 ペンチングオイル 描画用解き油。オイル類はビンのラベルを読んでから使うこと。 シッカチーフ 絵の具の乾燥促進剤。混ぜすぎると絵が茶色に変色する。 油絵の具 基本的な色を用意している。 クリーナー 筆洗い用オイル。筆の絵の具をふき取ってから使う。 イーゼル 制作時キャンバスを置く台。所定の位置に収納する。 額 各種あり。30号以上はアルミ製仮額(分解できる額)を利用。仮額は用意している木材で自作できる。
その他
- キャンバス張り器、タッカー(ホッチキスのようなもの。キャンバス布を張るとき使う)
- ヒートン(作品吊り下げ用金具。作品裏面の内側に付ける)
- タコ糸(作品吊り下げ用のひも)
- 古新聞(床が汚れそうなとき)
- ガムテープ(額つき作品を運搬するときなど。紙製は跡がつくので布製がよい。
- のこぎり、金槌、釘、ドライバー、ねじ、はさみ、カッターナイフ、金属製定規など。
☆どこに何があるか知っておくこと。使ったら元の場所に戻すこと。
1 用具(画材)について … その2…
◆ 絵具の色
最初は油絵の具セット(箱入り)に入っている12色があれば色数としては十分です。しかしセット入りの絵の具は習作用で質が悪い場合があるので、絵の具がなくなってきたら、早めに画材店で新しい絵の具を買いましょう。
- きれいな中間色のみを買う人がいますがそれらは混色して作った色で、実際あまり役に立ちません。
- 赤・黄・青と白は描画の基本色ですので絶やすことなく揃えておきましょう。
赤はブライトレッドまたはカドミウムレッドディープ、黄はカドミウムイエローライトまたはパーマネントイエロー、青はウルトラマリン(ディープ)がお勧めです。- 白はパーマネントホワイトかチタニウムホワイトがいいです(ジンクホワイトは亀裂を引き起こすことがあるので使わないこと)。
画材についてはホルベインのホームページ(下記アドレス)などで情報を得ることができます。
http://www.holbein-works.co.jp/index2.html?location=04.html
◆ 筆の種類と手入れ
- 毛の硬さ‥豚毛は最も一般的で硬毛に属し、固練りの絵具をタッチを生かして塗るときなどに使用します。軟毛(狸や馬の毛)は絵の具を軟らかく溶いて塗る場合に使います。ナイロン筆にも硬めの筆、軟らかめの筆があります。絵を描くときは様々な筆を併用して構いません。
- 毛の形‥丸筆、平筆、フイルバート型(丸みを帯びた平筆)などがあります。フイルバート型が使いやすいです。
- 筆の太さ‥筆軸に数字で示されています。豚毛の丸筆6号、8号、平筆(フイルバート型)10号〜12号、14号〜16号などは最低必要です。ほかにナイロン筆も使ってみましょう。
- 筆の他にペンチングナイフ等を使う人もいますが、初心者向きではありません。
- その日の制作が終わったら、筆についた絵具を拭き取ってからブラッシュクリーナーで洗う。さらに石鹸を付けて水で毛の根元までしっかり洗い、乾燥させる。購入時に筆先に付いているプラスチックは不要です。(硬くなった絵具を溶かす剥離剤もあるが説明書を読んで使うこと。)
◆ パレットの使い方と手入れ
- パレットは一枚物または折り曲げ式の木製やプラスチック製のもの、紙製のもの等があります。手入れ不要の紙製が便利です。
- 12色の絵具はパレットの上方に絵具箱に入っている順に、黒を除く全ての色を、その日使う分だけ出します。
- 色は補色(下記)の関係で、赤を出したら緑も、朱色を出したら青も使うので、結局黒を除く全ての色を出すことになります。(黒を使うと画面が濁りやすいので注意)。
- 制作が終わったら紙製のパレットは最上面だけはがせばいいですが、木製などは丁寧に絵具を取り去っておく必要があります。パレットナイフを使って取り、さらに布で拭いてきれいにしておきます。
補色について
色相環上で、ある色の180度反対側に位置する色をその色の補色という。絵具では混色すると黒に近い色となる2色の関係(赤と緑、朱色と青など)。全ての有彩色に補色がある。
この原理を知っていると、ものの暗部を表すとき、非常に役に立つ。(例えば赤いリンゴの暗部を「赤+緑少量」で混色して作るなど。)
☆ 赤+緑=黒は、赤+(黄+青)=黒 ということ。
赤黄青の3原色と白があればほとんど全ての色を作ることができます。
◆その他
- 制作後、机やイスに油がついている場合があるので、拭き取っておくこと。
- 「流し」に油、絵具、紙類を捨てないこと (不要の油類は必ず所定の広口ビンに入れておくこと)
2 制作にあたって
◆ 絵とは何か
絵にはさまざまな表現の仕方があります。
(1)目に見えるものを写真のようにそっくりに描いたもの。
⇒作者の訴えたいこと(主張、感動)が伝わらない、と批評される。出品しない方がよい。
(2)見て描くが、色や形、筆のタッチ、画面構成などに変化をつけたもの。
⇒変化を付けるのは自分だけの個性(絵の独特の雰囲気)を出すため。同系色でまとめるのも一つの変化といえる。
展覧会では基本を押さえた上で個性を感じさせる絵は高く評価される。
(3)元の形が分からないほど変化させたもの。抽象的な絵。
⇒独自性を表現するのは意外と難しい。審査員に理解されないこともある。
(4)空想画、想像画、非現実的な絵。
⇒最近多く見られるようになった。個々のモチーフ(対象)をしっかり描くことが大切。
なお、劇画風の絵、アニメ風の絵はそれだけで「どこかで見たことのある、個性の感じられない絵」とされ、評価さ れることはありません。注意しましょう。
絵とは
絵とは目に見えるものの形を借りて、目に見えない心の内面(美的感動)を表現することです。ですから絵を描くためには、ものを見てそれを正確に表現する力と、自分の感情や感覚を画面に表そうとする力(色や形を変化させたり組み合せたりする力)の両方が必要となります。
まず「こんな絵にしたい」という自分のイメージやテーマがあって、そのためにモチーフ(題材)を選ぶのであり、描くためのテクニックがあるわけなのです。
◆ 個性と自己流の違い
自分のイメージをそのままストレートに表現ししても見る人に理解されない(感動を与えない)場合があります。基本を無視した自己流の絵には、例えば次のような欠点があります。
(1) 画面の中で遠くのものが遠くに、近くのものが近くにあるように描かれていない。(一つの物体を描くときも、手前は強くはっきり、側面や後方部は弱くなります。)
(2) 画面の中にいろいろなものが描きこまれすぎていて、メインのもの(絵の主役)が弱められてしまっている。逆に無背景などで内容の乏しい絵になってしまった。
(3) 構図(画面の組み立て)や作品としての統一感ということに配慮がなされていない。等々。
あなたが少しでも上達したいと思うなら、積極的に先生の指導を受けることを希望します。特にキャンバスに描き始める前の段階で、つまりスケッチブックで構想を練る段階で先生の指導を受けることは、あなたの絵の成否を決定的なものにします(デザインを制作する場合も同様)。
◆その他
(1)制作日数は放課後1時間描くとして10号で平均10日かかります。(絵の制作は「壁塗り」とは違います。よりよい絵を描こうとすれば時間のかかるのは当たり前です。また精神的なもゆとりも必要です。)
(2)締め切り間際にあわてて制作する人は、よい絵を描く気の無い人です。
(3)写真をそのまま拡大して絵にするのは望ましくありません。スケッチして画面の組み立てを十分に検討しましょう。(写真は自分で撮ること。写真はあくまでも参考資料です。)
(4)他人の作品(写真も同様)には著作権があります。そのまま使うとこのないよう、くれぐれも注意してください。
(5)美術展に応募、出品する場合は、作品の裏面に出品票を貼り、裏面内側に吊り下げ用のヒートンとひもを付けること。
第3章 デザイン
(この章はデザインをする人のために書いたものです)
1 用具(画材)について
◆ 個人で用意(購入)するもの
デザイン用筆 平筆、隈取筆、面相筆 パネル(B2) B2サイズ以下のパネルは個人で用意(自作も可⇒持ち帰り可)。 その他 スケッチブック、水彩絵具など(使う人のみ)
* 個人のものには必ず記名し、部室に収納しておくこと。
◆美術室・部室にあるもの
パネル(B1) 紙(作品)を張り替えて使う。個人購入は先生へ。 ケント紙(四六版) パネルに水張りして使う。B2は半分に切ったものを使う。 ホビーホッチキス
(タッカー)水張り用のホッチキスと針。 ポスターカラー ニッカー製の瓶入り24色あり。乾燥させないよう蓋を閉めておく。 テープ(布製)各色 作品完成後、作品に合う色を側面に貼る その他 絵具皿、バケツ、模造紙、トレシングペーパー、刷毛、マスキングテープ、ビニール(作品完成後のカバー)
* 必要に応じて油絵用の備品を利用する。使ったら元に戻しておく。
2 制作にあたって
◆ デザインとは何か
デザインといってもさまざまありますが、部活動では主としてポスターやイラストレーション等の「グラフィックデザイン」の分野を取り上げています。
デザインとは
デザインとは「実用性と審美性を兼ね備えたもの」のことで、「実用美術」とも言われます。(絵画や彫刻と違って)何のためにその作品を作ったのか、という具体的な目的(実用性、機能性)が、他の人に明確に伝わらなければなりません。
- ポスターでは、環境問題など社会性を持ったテーマが評価されています。
* ポスターなどのグラフィックデザインでは一般に文字が入ります。文字の無い作品は、かつては(高美展には)応募しても選外となっていましたが、現在では「イラストレーション」(デザインの中の1ジャンル)として応募(出品)できるようになっています。
* 審査会で「この作品は見たことがある」と指摘され、選外とされる人がいます。技法を真似ることは構いませんが中味まで真似ると盗作(著作権侵害)とされます。気をつけましょう。
◆ その他
- 水張りは、水を吸って伸びた紙が、乾燥するとともに収縮するという原理を利用して、紙をピンときれいに貼るために行います。貼るときはパネルの側面に糊付けするのが本来のやり方ですが、紙を張り替えて使うことが多い場合は、ホビーホッチキス(タッカー)で5cmおきに止めたほうが、後で簡単に紙をはがせるので好都合です。初めての人は先輩のやり方を見て(できれば手伝いながら)覚えましょう。
- B1サイズのパネルに使用する紙のサイズは四六判(78.8×109.1cm)です。これを正確に半裁するとB2サイズのパネルに使用できます。ケント紙が一般的ですが、水彩画風にするため画用紙を使用する人もいます。
- 文字を加工、印刷したり、画像を処理するために準備室のパソコンを使用したい人は、必ず先生の許可を得てください。
キャンバスのサイズ表 (日本サイズ 単位cm)
号数 F P M 0 18.0x14.0 1 22.0x16.0 22.0x14.0 22.0x12.0 SM 22.7x15.8 2 24.0x19.0 24.0x16.0 24.0x14.0 3 27.3x22.0 27.3x19.0 27.3x16.0 4 33.3x24.2 33.3x22.0 33.3x19.0 5 35.0x27.0 35.0x24.0 35.0x22.0 6 41.0x31.8 41.0x27.3 41.0x24.2 8 45.5x38.0 45.5x33.3 45.5x27.3 10 53.0x45.5 53.0x41.0 53.0x33.3 12 60.6x50.0 60.6x45.5 60.6x41.0 15 65.2x53.0 65.2x50.0 65.2x45.5 20 72.7x60.6 72.7x53.0 72.7x50.0 25 80.3x65.2 80.3x60.6 83.3x53.0 30 91.0x72.7 91.0x65.2 91.0x60.6 40 100.0x80.3 100.0x72.7 100.0x65.2 50 116.7x91.0 116.7x80.3 116.7x72.7 60 130.3x97.0 130.3x89.4 130.3x80.3 80 145.5x112.0 145.5x97.0 145.5x89.4 100 162.1x130.3 162.1x112.0 162.1x97.0 120 193.9x130.3 193.9x112.0 193.9x97.0 130 193.9x162.0 150 227.3x181.8 227.3x162.1 227.3x145.4 200 259.1x193.9 259.1x181.8 259.1x162.1 300 290.9x218.2 290.9x197.0 290.9x181.8
上記のほかSサイズというものがあります。F、P、Mのサイズが長辺×短辺であるのに対して、Sサイズは長辺×長辺、つまり正方形と言うことです。(例: S100は162.1×162.1)
パネル(用紙)サイズ表(単位cm)
A判 サイズ B判 サイズ A0 84.1x118.9 B0 103.0x145.8 A1 59.4x84.1 B1 72.8x103.0 A2 42.0x59.4 B2 51.5x72.8 A3 29.7x42.0 B3 36.4x51.5 A4 21.0x29.7 B4 25.7x36.4 A5 14.8x21.0 B5 18.2x25.7