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相続税申告書作成・申告・納税


相続税を払う人
 相続税の申告と納税は、相続や遺贈によってもらった正味の遺産額が基礎控
除額を超える場合に、その超える部分が相続税の課税対象になり、申告と納税
が必要になります。
 したがって、正味の遺産額が基礎控除額以下であれば相続税はかかりません
ので相続税の申告も納税も必要ありません。
実際日本では相続税の納税義務がある件数は相続全体の中では平成6年以
降は5%あまりとなっています。平成15年10月公表された国税庁資料によれば
平成13年分の相続では4.7%となっています。
 なお、特例等を適用することで、相続税の基礎控除以下となり、相続税の納税
が不要となるケースがありますがこの場合、相続税の申告は必要になります。

相続税は、日本国内に住所がある人が、相続や遺贈により財産(日本国内、日本
国外を問わず)を取得したときは相続税の対象となります。
この場合、取得した人の国籍は問いません。

日本国籍がある相続人で海外に住所がある場合は、日本を離れて5年を経過して
している場合は取得した日本国内の財産に限り課税されます。
また、相続人が海外に住所がある外国人の場合でも取得する日本国内の財産に
限り課税されます。

 ※参考
   相続人が海外に住所がある場合の遺産分割協議書作成について

相続時精算課税の適用を受ける財産を取得した場合、相続または遺贈で財産を
取得しなかった場合でも相続時精算課税の適用を受ける財産が相続税の対象に
なります。

会社などの法人が被相続人の財産を取得する場合は相続税の問題ではなく、
法人税が課税されることになります。

※参考資料 
 国税庁 統計情報より
 相続税の課税状況、相続財産価格階級別、相続財産種類別の統計
 平成18年 平成17年 平成16年 平成15年

 
相続税の申告事績(平成19年分)及び調査事績(平成19事務年度分)
 (平成20年12月16日)


基礎控除額

    基礎控除額=5千万円+(法定相続人の数)×1千万円
     例えば、法定相続人が配偶者と子供2人の場合は8000万円を控除できます。

    ※相続の放棄をした人は、税法では民法の場合と異なり、放棄はなか
     ったものとして法定相続人の数にいれます。
    ※死亡した人に養子がいる場合には、法定相続人の数に含める養子の
     数が民法の場合とは異なり、制限され、実子がある場合には1人ま
     で、無い場合には2人までとなります。
     なお、相続税対策で養子縁組制度を利用するケースがありますが遺産分割
     を巡る揉め事にはなる可能性はあります。

配偶者の税額軽減措置
    被相続人の配偶者は法定相続分相当額であればいくら相続しても相続税は
    かかりません。
    また、法定相続分相当額を超えることとなっても1億6000万円までは相続税
    はかかりません。
    ただし、相続税の申告期限までに配偶者に分割されていない財産は税額軽減
    の対象になりません。
    また、残された配偶者が亡くなったときは配偶者の軽減措置はありません。
    この軽減を受けるためには相続税の申告書に戸籍謄本と遺言書の写しや
    遺産分割協議書の写しなど、配偶者のもらった財産がわかる書類を添えて
    提出することになります。

未成年者の税額控除
    相続人が未成年者のときは、未成年者控除が受けられ、相続税の額から以下の
    算式による額を差し引くことができます。

    (20歳-相続開始時の年齢)×6万円=未成年者控除額

障害者の税額控除
    相続人が70歳未満で障害者のときは、障害者控除が受けられ、相続税の額から
    一定の金額を差し引くことができます。

相続税の対象となる生命保険金(死亡保険金)、死亡退職金・功労金
    被相続人の財産ではありませんが、相続を原因として相続人が受け取ることで
    みなし相続財産と呼ばれるものです。(相続人以外の者が受取人であるときは
    遺贈により取得したものとみなされます。)
    なお、死亡保険金が相続税の対象となるケースは、死亡した被保険者と保険料
    の負担者が同一人の場合です。
    また、死亡保険金を年金で受領する場合には、毎年受け取る年金は雑所得となり、
    受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。

    参考までに死亡保険金で所得税が課税されるのは、保険料の負担者と保険金
    受取人が同一人の場合です。
    この場合の死亡保険金は、受取の方法により、一時所得又は雑所得として課税
    されます。
    死亡保険金が贈与税の対象となるケースは、保険料の負担者、被保険者、保険金
    の受取人がすべて異なる場合です。
    ただ、この場合も年金で受領する場合には、毎年受け取る年金は雑所得となります。

    死亡保険金や死亡退職金を受け取ったときは
    500万円×法定相続人の数=非課税限度額  となります。
    非課税限度内であれば誰がいくら受け取ったかは関係なく相続税はかかりません。
    この非課税限度額を超えた分が相続税の課税対象となります。
    複数の相続人が受取人の時は控除額を受取金額で按分し、その額をそれぞれの
    受取金額から控除します。

相続した住宅や事業用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)
    被相続人やその家族が居住していた宅地、工場・店舗・事務所・アパート経営など
    事業のために使って宅地等がある場合には、その宅地等の評価額の一定割合
    (最大で80%)を減額する特例があります。
    ただし、相続税の申告期限までに分割が確定していない場合は原則として税額
    軽減の対象になりません。
    この特例を受けられる人は、相続や遺贈によって宅地等を取得した個人です。
    なお、不動産賃貸などで事業的規模と言えないものでも相当の対価で継続的に
    貸し付けている場合は適用対象となります。
    使用貸借の場合には原則として適用はありません。

相続開始前3年以内の贈与は相続財産に加算されます
    相続などにより財産をもらった人が、被相続人からその死亡前3年以内に贈与を受
    けた財産があるときには、贈与を受けた財産の贈与の時の価額を贈与を受けている
    人の相続税の課税価格に加算します。
     また、その加算された財産の価額に対応する贈与税の額は、加算された人の相続
    税の計算上控除されることになります。

    基礎控除額110万円以下の贈与財産や死亡した年に贈与されている財産の価額も
    加算することになります。
     なお、贈与税の配偶者控除を受けている又は受けようとする財産があるときは、その
    配偶者控除額に相当する金額は加算する必要はありません。

相続時精算課税制度を選択していた場合
    相続時精算課税を選択した者に係る相続税額は、相続時精算課税に係る贈与者が
    亡くなった時に、それまでに贈与を受けた相続時精算課税の適用を受ける贈与財産の
    価額と相続や遺贈により取得した財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税
    額から、既に納めた相続時精算課税に係る贈与税相当額を控除して算出します。
     その際、相続税額から控除しきれない相続時精算課税に係る贈与税相当額について
    は、相続税の申告をすることにより還付を受けることができます。
     なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の価額とされています。

債務控除
    被相続人が残した借入金などの債務を遺産総額(相続時精算課税の適用を受ける贈与
    財産がある場合には、その価額を加算します。)から差し引くことができます。

    差し引くことができる債務は、被相続人が死亡したときにあった債務で確実と認められる
    ものです。
    したがって、確実とは認められない借金の保証人になった場合の保証債務は原則として
    債務控除の対象とはなりません。連帯保証も同様です。

    なお、被相続人に課税される税金で被相続人の死亡後相続人などが納付又は徴収される
    ことになった所得税などの税金については被相続人が死亡したときに確定していないもの
   (相続時精算課税適用者の死亡によりその相続人が承継した相続税の納税に係る義務を
    除きます。)であっても、債務として遺産総額から差し引くことができます。
    ただし、相続人などの責任に基づいて納付したり、徴収されることになった延滞税や加算税
    などは遺産総額から差し引くことはできません。

     葬式費用は債務ではありませんが、相続税を計算するときは遺産総額から差し引くこと
    ができます。
    ただし被相続人が生前に購入したお墓の未払代金など非課税財産に関する債務は、遺産
    総額から差し引くことはできません。

相続税がかからない財産(非課税財産)
    ・墓、仏壇、仏具など
     ただし、純金仏像など投資対象になるような資産価値の高いものは課税対象。
    ・宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが
     相続や遺贈によってもらった財産で公益を目的とする事業に使われることが
     確実なもの(社会福祉、学校、幼稚園、宗教等公益を目的とする事業)
    ・心身障害者共済制度に基づく給付金の受給権
    ・死亡保険金 500万円×法定相続人の数
    ・死亡退職金 500万円×法定相続人の数
    ・相続人等が相続財産を申告期限までに国などに寄附した場合


相続税の計算について
  相続税の課税価格は、相続または遺贈(含 死因贈与)により財産を取得した者の
  相続税計算の基礎となる金額であり、それぞれ財産を取得した者ごとに、その相続
  または遺贈によって取得した財産の価格をもととして計算することになります。

相続税の計算の順序

(1)各人の課税価格の計算
  課税価格は相続人や遺贈を受けた人ごとに以下の算式により計算します。

相続財産 + みなし相続財産 − 非課税財産+相続時精算課税に係る贈与財産の
贈与時の価額 − 債務や葬式費用の額+ 相続開始前3年以内の贈与財産の額
= 各人の課税価格
 (千円未満切り捨て)

(2)相続税の総額の計算

各相続人の課税価格の合計=課税価格の合計額

課税価格の合計額−基礎控除額(5,000万円+1,000万円×法定相続人の数)
課税遺産総額
    ※相続の放棄をした人は、税法では民法の場合と異なり、放棄はなか
     ったものとして法定相続人の数にいれます。
    ※死亡した人に養子がいる場合には、法定相続人の数に含める養子の
     数が民法の場合とは異なり、制限され、実子がある場合には1人ま
     で、無い場合には2人までとなります

課税遺産総額×各相続人の法定相続分=法定相続分に応ずる取得金額
                            (千円未満切り捨て)
    ※各相続人が実際に財産を取得したかどうかにかかわらず、各法定相続人が
      民法に定める法定相続分に従って取得したものとして、各法定相続人の取得
      金額を計算します。

法定相続分に応ずる取得金額×税率−控除額=各法定相続人ごとの算出税額

各法定相続人ごとの算出税額を合計=相続税の総額

(3)各人ごとの相続税額の計算

相続税の総額×各人の課税価格÷課税価格の合計額=各相続人の税額
 ※相続税の総額は、百円未満は切り捨てます。
 ※実際に取得した財産の割合に応じて按分し直します。

(4)各人の納付総額の計算

各相続人の税額−(贈与税額控除、配偶者の税額軽減、未成年者控除等)
各相続人の控除後の税額
 ※財産をもらった人が被相続人の配偶者、父母、子供(子供が被相続人より
  先に死亡しているときは孫)以外の場合は、税額控除を差し引く前の相続
  税額にその20%相当額を加算した後、税額控除額を差し引きます。
  (相続税額の2割加算

各相続人の控除後の税額-相続時精算課税分の贈与税額
=各相続人の差引税額
 ※相続時精算課税制度を選択した場合、既に支払った贈与税額を最後に控除します。
  相続税額から控除しきれない場合は還付されます


相続税の申告

 相続税の申告は被相続人の死亡した日(死亡を知った日)の翌日から10ヶ月以内
に行うことになっています。
例えば、1月6日に死亡した場合にはその年の11月6日が申告期限になります。
10ヶ月というと割と余裕があるように感じられますが遺産分割協議書の成立まで
思いかけないほど時間がかかったりするケースも多いので要注意です。

※遺産分割協議が成立しないと困ること(デメリット)も出てくる可能性があります。
 ・銀行預金等の解約できない。
 ・相続税の納税のために土地を売却したいと思っていても売れない。
 ・相続税の納税資金が不足するので物納を考えていたが物納申請できない。
 ・相続税の配偶者税額軽減措置が使えず、配偶者も相続税を納めることに。
 ・小規模宅地等の特例を受けることができない。
 ・特定事業用資産(非上場株式など)についての課税価格の計算の特例を受けれない。
 ・農業後継者が農地等の納税猶予の特例を受けたくても受けられない。

 相続税の申告期限までに申告をしなかった場合や、実際にもらった財産の額より
少ない額で申告をした場合には、本来の税金以外に加算税がかかります。
 相続税の申告書の提出先は死亡した人の住所地を所轄する税務署です。
相続人の住所地ではありません。

相続税の納税

 相続税の納税は、申告期限と同じく、被相続人の死亡した日の翌日から10
か月以内に行うことになっています。
 納税は税務署だけでなく金融機関や郵便局の窓口でもできます。
 期限までに納めなかったときは利息にあたる延滞税がかかります。
 相続税も金銭で一度に納めるのが原則ですが、特別な納税方法として延納と
物納制度があります。
 延納は何年かに分けて納めるもので、物納は相続などでもらった財産そのも
ので納めるものです。
 延納、物納は、申告書の提出期限までに税務署に申請書を提出して許可を受
ける必要があります。
  特に平成18年4月以降の物納は、改正により取り敢えず物納の申請だけでもとい
う形はできなくなり、物納申請時に測量や境界立ち会い確認手続きを終了してい
なくてはならないなど申請手続きが厳格化されました。
また、延納の場合と同様、物納が完了するまでの間に利子税が発生することにな
りました。
 したがって、被相続人にとってもこれまで以上に、出来れば生前の元気なうちから
相続税の納税資金対策が必要になったと言えます。


参考ページ

■ 財務省

   税制ホームページ(財務省)


  ・各年度別の税制改正の内容

   ・平成21年度税制改正の要綱 (平成21年1月23日 PDFファイル)

   ・平成20年度税制改正法が4月30日、衆院本会議で再議決で可決・成立しました。
    住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例(贈与税) 財務省
    適用期限が平成21年12月31日まで2年延長されました。

  ・相続税、贈与税など(資産課税等)に関する資料
   (平成20年10月現在)
   ・相続税に関する基本的な資料
   ・相続税の改正に関する資料
   ・相続税の税率構造に関する資料
   ・相続税の負担水準に関する資料
   ・相続税の特例に関する資料
   ・贈与税(暦年課税)に関する基本的な資料
   ・相続時精算課税制度に関する資料
   ・相続時精算課税制度の特例(住宅取得等資金・取引相場のない株式等)に関する資料
   ・相続税・贈与税に係る基本的計数に関する資料
   ・登録免許税に関する資料
   ・印紙税に関する資料

■ 国税庁

   ・平成20年分確定申告特集

   相続税・贈与税(国税庁)


    ・平成20年分相続税の申告書等の様式一覧 (平成20年7月1日)

    ・税についてのパンフレット手引き

    ・平成20年分相続税の申告のしかた

    ・平成20年分贈与税の申告のしかた

    ・住宅取得等資金の贈与の特例に関する平成18年贈与税の改正のあらまし(平成18年4月)PDFファイル

    ・相続税(贈与税)の延納制度、相続税の物納制度が変わりました。PDFファイル

    ・相続税の納付についてQ&A(PDF)

    ・相続税・贈与税の延納の手引(平成18年4月1日以後相続開始分・平成19年1月1日以後贈与分)(PDF)

    ・相続税の物納の手引 〜手続編〜(平成18年4月1日以後 相続開始分)(PDF)

    ・相続税の物納の手引 〜様式編〜(平成18年4月1日以後 相続開始分)(PDF)

    ・相続税の物納の手引 〜整備編〜(平成18年4月1日以後 相続開始分)(PDF)

    ・平成19年度 相続税の物納申請状況等について (平成20年7月1日)

   ・資産税関係チェックシート(国税庁・東京国税局)
     相続税、贈与税及び譲渡所得の申告のためのチェックシートを提供しています。

   ・財産評価基準書(国税庁 路線価・評価倍率表

   ・財産評価・法解釈通達(国税庁)

   ・相続税・基本通達(国税庁)

   ・国税庁・質疑応答事例
       相続税・贈与税、財産の評価(土地、非上場株式の評価等)
       質疑応答事例は、国税当局において納税者の皆様からの照会に対して回答した事例等
       のうち、他の納税者の方々の参考となるものを掲載しています。

   ・税務署長等の処分に不服があるときの異議申立手続

  譲渡所得税
   ・相続財産を譲渡した場合の取得費の特例 (タックスアンサーより)

   ・相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期 (タックスアンサーより)

   ・相続により取得した非上場株式を発行会社に譲渡した場合の課税の特例

   ・非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予の特例のあらまし

■相続・遺言に関する官公署等の改正・更新情報掲載
(財務省、国税庁、法務省、裁判所等官公署の相続関連の改正・更新情報
のリンク集ページとなっております。最新情報をお確かめ下さい)

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