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四. 任意後見制度とは

 任意後見制度は「任意後見契約に関する法律」に基づいて創設され、法定後
見制度と並ぶ成年後見の柱となる制度です。
法定後見が判断能力が低下している状態下での保護制度であるのに対して任
意後見制度は、まだ判断能力が十分にあるときに、痴呆等で判断能力が低下し
た場合に備えて、信頼できる人(任意後見人)との間で自分の生活、療養看護、
財産管理についてどの程度の保護をしてもらうのかをあらかじめ契約をしてお
くという「自己決定の尊重」の理念に適った制度といえます。
 また、この任意後見契約は家庭裁判所が任意後見監督人を選任したときから
契約の効力が生ずるようにすることで自己決定を尊重しつつも任意後見人の権
利濫用を防止し、本人保護を図るようになっています。
その他、任意後見制度は知的障害者や精神障害者の親が自分の老後や死
後の子の保護のために活用することもできます。

任意後見契約

最初に任意後見契約での受任者となる人を選ぶことになります。
任意後見受任者は、特に制限はなく、法人でも、また複数の人でもなれます。
弁護士・司法書士・行政書士等の法律の専門家や社会福祉士等の福祉の専門家
の他にもちろん親族を選ぶこともできます。

 任意後見契約の締結は、公正証書で作成する必要があります。公証役場に出
向いて作成することになりますが、公証役場に行けない場合は公証人に病院や
自宅に来てもらって作成することもできます。

○必要書類
 本人の戸籍謄本、住民票各1通
 任意後見受任者の住民票1通
 公正証書作成手数料 1件につき11,000円
 その他登記費用など全部で2万円程度の公正証書作成のための費用がか
 かります。

 任意後見契約では
1.任意後見契約に関する法律に基づくものであること
2.任意後見監督人が選任されたときから契約の効力が生じるものであること
3.本人の判断能力が十分でなくなった場合の財産管理や生活・療養看護に関
 する事務の全部あるいは一部の委任であること
4.委任した事務について代理権を付与すること
等を契約条項として定めることが必要になります。

 委任する事務の範囲については、財産管理に関する法律行為(不動産などの
処分・賃貸借契約の締結・預貯金の管理・相続時の遺産分割協議など)と身上
監護に関する法律行為(医療契約や福祉サービス利用契約の締結など)で本人
と任意後見人受任者との話し合いで決め、代理権付与の対象となる法律行為を
明確に特定します(代理権目録の作成)。
 なお、任意後見人ができる委任事務は契約等の「法律行為」であって介護サ
ービス等の身の回りの世話である「事実行為」は含まれません。
 従って介護サービスなどを希望する場合は、任意後見人が本人の代理人とし
て要介護認定の申請や介護サービス業者等と介護契約を締結し、身の回りの世
話はそのサービス業者が行うことになります。
 また、判断能力の衰えが無くても足腰など身体的な衰えが先に進んでしまう
場合を考慮して財産管理等の事務や介護等の事実行為を委託する委任契約
を任意後見契約と合わせて契約すること方法も考えられます。
 さらに万が一の場合も考慮して財産の相続についても遺言書を作成することで
本人の意思を実現することになり、無用なトラブル防止にもなります。

任意後見契約が公正証書により作成されると公証人の嘱託により任意後見が
された旨の登記がなされます。

○任意後見契約の登記後、本人の判断能力が衰えてきたとき
 -任意後見監督人選任の申立-

 精神上の障害(認知症、知的障害、精神障害など)によって、本人の判断能力
が不十分な状況になったときは、本人・配偶者・四親等内の親族または任意後
見受任者が本人の住所地を管轄する家庭裁判所に任意後見監督人選任の
申立を行います。本人以外の者の請求により任意後見監督人を選任するに
は、本人が意思表示をできる場合には本人の同意が必要となります。
家庭裁判所によって任意後見監督人が選任されることによって任意後見契約
の効力が生じ、契約で定められた任意後見人が、任意後見監督人の監督の
下に契約で定められた特定の法律行為を本人に代わって行うことができるよ
うになります。

任意後見監督人の職務は

1.任意後見人の事務を監督すること。
2.任意後見人の事務に関し、家庭裁判所に定期的に報告をすること。
3.急迫の事情がある場合に、任意後見人の代理権の範囲内において、必要
 な処分をすること。
4.任意後見人又はその代表する者と本人との利益が相反する行為について
 本人を代表すること。

 と定められており、さらに任意後見監督人は、いつでも、任意後見人に対し
任意後見人の事務の報告を求め、又は任意後見人の事務若しくは本人の財
産の状況を調査することができるとなっており、任意後見人の権利濫用を防止
する仕組みとなっています。

○申立必要書類

申立書
申立手数料(一件につき600円の収入印紙)
登記印紙(2000円分)
郵便切手(4000円程度)
申立人の戸籍謄本、住民票各1通
本人の戸籍謄本、戸籍附票、成年後見登記事項証明書、診断書各1通
成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記事項証明書各1通

※申立の家庭裁判所や本人の状況によっては必要書類が多少異なったり、
 他に必要な書類もあるので詳細は申立予定の家庭裁判所にお問い合せくだ
 さい。

○後見人の報酬

後見人の報酬はについては契約内容等によりますが専門家に依頼する場合
は月額2〜3万円前後が基準となります。親族に依頼する場合は無報酬とする
場合が多いようですがその場合は遺言を作成して配慮するなどのケースもあ
ります。
後見監督人の報酬は本人の財産等を考慮して家庭裁判所が決定します

○任意後見契約の解除

 任意後見契約は、任意後見監督人が選任されて後見が始まるまでは解除す
ることができます(ただし、公証人の認証を受けた書面でする必要があります)。
任意後見監督人が選任されて後見が開始されてからは、正当事由がある場
合に限り、さらに家庭裁判所の許可を得ることで契約を解除することができます。


参考ページ

成年後見の参考資料としては、家庭裁判所への成年後見の申立に関する統
計情報としては最高裁判所ホームページ内の「成年後見関係事件の概況〜
平成12年4月から平成19年3月〜」
をご覧ください。

任意後見監督人選任(裁判所のページ)

成年後見登記 (東京法務局)
 成年後見制度の概要、手続きの流れ、登記申請、証明書の申請 等

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遺言作成から執行までの手続き

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