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二. 法定後見制度とは -後見・保佐・補助-

 法定後見制度は、本人の判断能力の程度に応じて、後見、保佐、補助の
三つの制度があります。

○補助の制度

 この中で補助の制度は改正により新たに設けられた制度です。従前では、
法律上保護の対象とはならなかった軽度の認知症(痴呆)・知的障害・精神
障害・自閉症等により判断能力が不十分な人を保護する制度です。

 本人の住所地を管轄する家庭裁判所の「補助開始の審判」とともに「被補助
人」のために「補助人」を選任し、当事者が申立により選択した「特定の法
律行為」について、審判により補助人に代理権又は同意権・取消権の一方又は
双方を付与を付与します。
「特定の法律行為」とは、画一的なものではなく、預貯金の払戻、不動産の処
分・管理、遺産分割等の財産に関するの法律行為や介護サービス契約、医療
契約の締結等の身上監護に関する法律行為などを、個々の事案・必要性に応
じて当事者が申立により選択するものです。
 自己決定の尊重の観点から、本人の申立又は同意を審判の要件となります。

 補助人は、審判で決定した範囲内で、本人の行為に同意を与え、又は、本人
の行為を取り消したり、あるいは本人を代理することによって、本人の利益を
守ることになります。
 なお、代理権・同意権の必要性がなくなれば、その付与の取消しを求めるこ
とができ、すべての代理権・同意権の付与が取り消されれば、補助開始の審判
も取り消されます。

○保佐の制度

 保佐の制度は民法改正前の準禁治産制度を改めたものですが、精神上の
障害により判断能力が著しく不十分な人を保護する制度で従来制度にあった
単に「浪費者」であるという場合には適用はありません。

 本人の住所地を管轄する家庭裁判所の「保佐開始の審判」とともに「被保佐
人」のために「保佐人」を選任し、被保佐人が民法第12条第1項所定の行為
(1 貸金の元本領収や元本を利用すること 2 借財や保証をすること 3 不動産
又は重要な財産の取得・処分 4 訴訟行為 5 和解、贈与、遺贈等 6 相続の承
認、放棄、遺産分割等 7 新築、増改築等 8 賃貸借等)をすることについて保
佐人に同意権を付与するとともに取消権を本人のほかに保佐人にも付与しまし
た。また、必要に応じて当事者が申立により選択した「特定の法律行為」につ
いて審判により保佐人に代理権を付与することを可能にします。
代理権の付与は、本人の申立又は同意が要件となります。

○後見の制度

  後見の制度は民法改正前の禁治産制度を改めたもので、精神上の障害に
より判断能力を欠く常況に在る人を対象とします。
 本人の住所地を管轄する家庭裁判所の「後見開始の審判」とともに「成年被
後見人」のために「成年後見人」を選任し,成年後見人は広範な代理権・取消
権を付与されますが、自己決定の尊重の観点から、日用品の購入その他日常
生活に関する行為を本人の判断にゆだねて取消権の対象から除外していま
す。


 法定後見制度においては、本人の生活状況や財産状況についての多様な
ニーズに応えるため、成年後見人を複数選んだり、成年後見人に法人を選ぶこ
とも可能となりました。そこて゜、財産管理は法律実務家に、身上監護は福祉の
NPO法人にというように分担させることもできます。
また、成年後見人等の権利濫用がないように、家庭裁判所は必要と認められ
る場合には本人・親族等の請求、または職権で成年後見監督人等を選任でき
ます。
さらに、成年後見人等が代理して居住用不動産を処分(売却・賃貸・抵当権の
設定等)するには家庭裁判所の許可が必要としています。

三. 法定後見制度の手続

○どのような場合に利用をするのか

 判断能力が不十分な方が、例えば、住宅を処分したいとき、福祉サービスの
契約をしたいとき、遺産分割をしたいとき、一人では出来ない場合や一人です
るには不安がある場合、あるいは訪問販売などで必要もない高価な商品を買
ってしまうおそれがあるといったときに利用することが考えられます。

○誰が申し立てることが出来るのか(後見開始の場合)

 本人(成年後見開始の審判を受ける者)、配偶者、四親等内の親族、未成年
後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人、検
察官(任意後見契約が登記されているときは、任意後見受任者、任意後見人
及び任意後見監督人も申し立てることができます。)
※身寄りのない人のために、市町村長にも審判の申立権が付与され、地域の
成年後見支援制度の整備もあって申立件数も増えています。

○どこに申し立てるのか

 本人の住所地の家庭裁判所
 参考までに、札幌近郊では札幌市、江別市、千歳市、恵庭市、北広島市、石
 狩市、石狩郡、厚田郡に住所がある場合の管轄裁判所は札幌家庭裁判所
 の本庁(札幌市中央区大通西12丁目)となります。

○申立必要書類

申立書(最寄りの家庭裁判所で入手できますし、裁判所(家事事件)のホームページ
からダウンロードすることもできます。書式の記載例もあります。)
また、下記「参考」に記載の裁判所のページもご覧下さい。

申立手数料(一件につき800円の収入印紙)
登記印紙(4000円分)
郵便切手(4000円程度)
申立人の戸籍謄本、住民票各1通
本人の戸籍謄本、戸籍附票、成年後見登記事項証明書、診断書各1通
成年後見人候補者の戸籍謄本、住民票、身分証明書、登記事項証明書各1通
本人の資産・収入などを証する資料(不動産登記簿謄本、預貯金の通帳の写
し、保険証券等の写しなど)各1通

※申立の家庭裁判所や本人の状況によっては必要書類が多少異なったり、
 他に必要な書類もあるので詳細は申立予定の家庭裁判所にお問い合せくだ
 さい。
※成年後見登記事項証明書は、東京法務局が発行する、後見開始の審判な
 どを受けていないか,あるいは既に受けているかについての証明書のことで
 す。
 証明書の申請については東京法務局のホームページの業務案内を参照して
 ください。
※身分証明書とは、証明の対象者の本籍地を管轄する市区町村長が発行す
 る、破産宣告を受けていない旨の証明書のことです。

○申立後

 申立てがあると、家庭裁判所調査官や場合によっては家事審判官(裁判官)
が本人や関係者に会って、申立ての理由、意向等を聴いたりします。また、必
要に応じて本人の判断能力について鑑定が行われます。後見開始の審判・保
佐開始の審判では、原則として本人の精神の状況について鑑定をしなければ
なりません。(申立人がこの鑑定に要する費用を負担することになります。5〜
15万円)その上で、本人の財産の内容や生活する際に必要となる援助の内容
に応じて、親族やその他の人たちの中から成年後見人等として最もふさわしい
人を選ぶことになります。

成年後見の登記

 後見開始の審判がなされると、家庭裁判所書記官の嘱託によって成年後
見の登記が行われます。(戸籍には記載されることはありません)
成年後見の登記は東京法務局で全国の成年後見登記事務を取り扱っていま
す。
登記が完了すると、請求により、その内容を証明する「登記事項証明書」が発
行されます。
成年後見人等が、本人に代わって財産の売買・介護サービス提供契約などを締
結するときに、取引相手に対し登記事項の証明書を提示することによって、そ
の権限などを確認してもらうという利用方法が考えられます。
 そこで登記された事項の証明書の交付を請求できる人は、取引の安全の保
護と本人のプライバシー保護の調和を図る観点から、本人、その配偶者・四親
等内の親族、成年後見人など一定の方に限定されています。不動産や法人の
登記事項証明書とは異なり、第三者や取引の相手方は交付を請求することは
できません。 (取引の相手方は後見人等に請求することになります。)
 なお、登記されていないことの証明書とは,後見登記等ファイルに記載され
ていないことを証明するもので、主に成年被後見人・被保佐人等に該当しない
ことを証明する際に必要になります。


参考 ご存じですか?家庭裁判所の成年後見の手続(裁判所)

    成年後見人の仕事について(裁判所)

    成年後見申立ての手引(平成20年1月版・PDFファイル)さいたま家庭裁判所
     ※成年後見の手続きに限りませんが、申し立てる裁判所により,取り扱いが
      異なる場合があります。詳しくはお申立予定の裁判所へご確認下さい。

    成年後見制度における鑑定書・診断書作成の手引(最高裁判所事務総局家庭局)

    成年後見登記制度 (法務省民事局)

    成年後見登記 (東京法務局)
     成年後見制度の概要、手続きの流れ、登記申請、証明書の申請 等

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