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紀北 矢賀 睦都恵様
十一年ぶりの一年生担任。どんなに、かわいいのだろうと、期待
に胸をふくらませた入学式。かわいいス−ツを着て、ちょこんと座
っている姿の、なんて小さくて、愛らしいこと。
だが、次の日の朝、現実は始まった。「教室がわからん」「ラン
ドセルが背中からはなれん」あちこちで、泣き出す。
チャイムという印籠も、彼らには何の役にも立たない。「何で教室
に入らないかんの」「なんで勉強せないかんの」。彼らには、時間
で動く集団生活が、理解できないようだ。
給食に出た、ゆで卵。「殻をむけるひと?」「殻って何」「机で
コンコンとひびを入れて、すこしづつむいていくのです」。思い切
りむいて、黄身だけの子。うす皮を、はじめて知った子。手を洗わ
なかったので、白身が茶色になった子。
全員、むき終わるの、十七分。
ときには目尻の神経がピクピクする。一日中、声を枯らす。
けれど、毎朝「先生、おはよう」という笑顔に、今日もがんばろ
うかと、元気が出る。一年生ザウルスに 負けないぞ!
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