シーリングのプライマーについて

Kyowa Original Report


プライマーの役割

 シーリング材が本来の防水機能を発揮するには, シーリング材そのものの物性もさることながら,目地構成部材に十分に接着することが基本です。
しかしながら,一般的に構成部材(以下,被着体という)は,多種多様であり,これに表面塗装,又は表面処理された被着体を加えると,その種類は無数にあるといます。これら多種の被着体にシーリング材を接着させるには,それぞれに応じたプライマーの助けが不可欠です。

 すなわち,プライマーは,シーリング材の単なる副資材ではなく, シーリング材とセットとして必要欠くべからざるものであり,換言すれば,プライマーの選択及び塗布方法はシーリング材に期待する性能を発揮できるかどうかを左右するものです。

 プライマーの役割は,以下のとおりであり,A,G,Cの副次的な役割も見逃せません。

 @シーリング材と被着体間の接着性の付与及び向上

 A表面強度の脆弱な被着体の表面の強化

 B多孔質物質の表面を被覆し,接着面積をアップすることと,内部からの水,アルカリ成分などの浸出の 防止

 C被着体からの可塑剤などの移行防止


プライマーの接着機構

 プライマーが使われている状態は下図に示すように,被着体の表面にプライマー層が存在し,更にその上にシーリング材層が存在します。

なんらかの外的要因によって,この系に破断現象が生じた場合,その現象は必ず次の中のどれか一つ又は二つ以上に該当します。

@被着体の凝集破壊(A内の破壊)

A被着体-プライマー間の接着破壊(A-B間の破壊)

Hプライマーの凝集破壊(B内の破壊)

Cプライマー-シーリング材間の接着破壊(B-C間の破壊)

Dシーリング材の凝集破壊(C内の破壊)

 このうち,接着性からみて望ましい現象は@の被着体の凝集破壊と,Dのシーリング材の凝集破壊です。
ただし,このことはプライマーが被着体及びシーリング材に対して凝集力を低下させない,という条件が必要です。
例えば,金属に塗装された塗料をプライマーの溶剤が溶かすことによって起こる金属−塗膜間のはく離現象や,プライマーの乾燥が不十分なために,プライマーの溶剤でシーリング材が軟化して,その結果生じるシーリング材の凝集破壊は望ましい現象から除外しなければなりません。

言い換えれば, プライマーの凝集力は被着体又はシーリング材のどちらか一万の凝集力よりも大きくなければならないし, プライマー・被着体間及びプライマー・シーリング材間の接着力は被着体又はシーリング材のどちらか一方の凝集力よりも大きくなければならないことになります。この条件下でプライマーの接着性能として最も望ましい現象は,Dのシーリング材の凝集破壊です。


プライマーの種類

プライマーに使用される主な原材料は,被着体とシーリング材との接着を担う反応性樹脂,シランカップリング剤,極性樹脂などのほか液体化するための溶剤から構成されます。
多くのプライマーは接着の対象となる被着体が多く,同一のシーリング材でもプライマーの使い分けが必要となることも多々あり,主成分の種類によって下表に示す系統に大きく分類さます。したがって, プライマーは配合の対象となる原料が非常に多く,単独又は組合せでの使用など配合条件は多岐にわたります。

プライマーの系統と主成分

プライマーの系統

主成分

合成ゴム系 合成ゴム/溶剤(1成分形)

アクリル系

アクリル樹脂/溶剤(1成分形)

ウレタン系

ウレタン樹脂/溶剤(1,2成分形)

エポキシ系

エポキシ樹脂/溶剤(1,2成分形)

シリコーンレジン系

シリコーン樹脂/溶剤(1成分形)

シラン系

オルガノシラン/溶剤(1成分形)


プライマーの選定

 プライマーを選定する場合には,次の点に留意する必要があります。

@シーリング材,被着面ごとにプライマーの種類が異なる場合があります。

A同系のシーリング材,同種の被着体であってもシーリング材製造業者ごとにプライマーの種類が異なり,通常は共通性がない。

B以上のことから, シーリング材製造業者の指定するプライマーを使用する。

Cしたがって, シーリング材・プライマー・被着体の適合性は,事前に確認しておく必要がある。
ただし,ガラス・アルミニウム・コンクリートなどの比較的施工実績の多いものについては, シーリング材製造業者の事前の試験成績書によって確認してもよい。


プライマー使用上の注意

@プライマーは,有効期間内のものを使用し,変色,増粘,ゲル化又は沈殿物などの状態に異常が生じているものは使用してはならない。また,開封後は速やかに使い切ることが必要です。

Aプライマーの塗布作業は,刷毛などを使用し,塗り残し,塗りむら,塗り不足がないように注意して,入念に行うことが重要です。

Bプライマーを被着面に塗布した後, シーリング材の充填は,規定の時間内に行わなければなりません。

C被着面が乾燥硬化形塗料の場合,芳香族系,エステル系及びケトン系の溶剤は,塗膜を溶解又は膨潤させ,接着性を著しく低下させることがあるので注意が必要です。

D一般にプライマーは,溶媒として有機溶剤を含有しているので,取扱い上,中毒予防や火災予防に対する配慮が必要です。


日本シーリング材工業会発行
建築用シーリング材ハンドブック参照

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